イメージ画像

是正勧告対応 サービス残業と割増賃金

最近のニュースによると、時間外手当を支払わないでサービス残業をさせていたとして、経営者が、逮捕されるケースが出てきました(平成15年2月3日、東京労働局青梅労働基準監督署により特別養護老人ホームの理事長が逮捕されました)。

また、民間最大の産業別組合「UIゼンセン同盟」は、悪質なサービス残業を行っている会社を、従業員の代わりに告発する方針を決定しています。

さらに、厚生労働省は、平成15年5月23日、社会問題化しているサービス残業を解消することを目的に、サービス残業解消対策を一層強化するとともに、労使の主体的な取り組みを促進するため、「賃金不払残業総合対策要綱」を策定し、都道府県労働局長宛てに通達しています。

サービス残業・割増賃金、残業代未払い

時間外手当の未払い(残業代未払い)で従業員あるいは労働組合から訴えられた場合、会社の経営を左右する大問題となることも、十分に考えられることです。

このようなことを防ぐためには、労働時間と割増賃金、残業代未払いに関する正確な知識と日常の労務管理が非常に重要になります。

労働時間・割増賃金・残業代未払いの問題とは?

まずは、簡単な次のテストをやってみてください。これは割増賃金に関する基本知識の確認です。
これを理解していないと、適正な割増賃金を支払っているのかいないのか、把握できないことになります。

時間外手当の計算式は、

「時間外手当=(所定内賃金÷月平均所定内労働時間)×1.25×時間外労働」です。

  • 所定内賃金とは、何でしょうか?営業手当や住宅手当は、所定内賃金に含まれるのでしょうか?
  • 月平均所定内労働時間とは、何時間ですか?それは、どのようにして算出するのですか?
  • 深夜労働、休日労働の場合の計算式は?

日常の労務管理はどのように行えばよいのか?

労務管理のポイントを押さえておかないと、「労働時間と思っていなかったのに実は労働時間だった」ということになり、時間外手当の不払いで訴えられることになります。

次の質問が、答えられるでしょうか?チャレンジしてみてください。

  • 準備体操をしている時間、研修時間は労働時間になりますか?
  • ダラダラと残っていて、タイムカードを打刻する時間が遅くなった場合、残業になりますか?
  • 残業時間の法的な規制は何時間ですか?この基準以上、残業をさせた場合、どのようなリスクがあるでしょうか?

労働時間は現実に作業に従事している時間に限らず、作業前に行う準備や作業後に行う後始末、掃除など、使用者の明示や黙示の指揮命令下で行われている限り、それも労働時間になります。

判例でも「労働者が、就業を命じられた業務の準備行為を事務所内において行うことを使用者から義務付けられたりしたときは、このような行為を所定労働時間外において行うものとされている場合でも、労働時間に該当する」として、始業前や終業後の作業着の着脱などに要した時間を労働時間と判断しています。

割増賃金や労働時間、未払い残業の問題は、実に奥が深いものです。わかっているつもり、知っているつもりが、実は一番危険なことかもしれません。


サービス残業と割増賃金、残業代未払いの問題解決のために、東京・神奈川の会社に限り、緊急相談を実施しています(相談料金は、1時間10,500円になります)。

ただし、社労士導入をご検討中の会社様については、初回1時間の相談が無料です。相談だけで、顧問契約していただかなくても結構です。

社会保険労務士とのつきあいは一般的には長期間になります。

多くの社会保険労務士と違って、当事務所では、そのような長いおつきあいを始める前に、当事務所と貴社の考え方が共通しているとわかることがベストだと考えています。ですから、初回の1時間は貴社にプレゼントいたします。

もしご縁がなかったということになっても、貴社に役立つ提案をさせていただきます。

この緊急相談(社労士導入をご検討中の会社様を対象については、初回1時間の相談が無料)は、会社負担をなるべく増やさない方法でサービス残業の廃止、割増賃金の支払をいっしょに考えていくというものです。サービス残業や残業代未払いを隠す手段を教えるといったものではありませんので、そのようなことを期待される方は、ご遠慮願います。

是正勧告の事例から注意すべきこと

労働局の調査において、「一定の時間外手当としてそれ以上の時間外労働を賃金支払いに反映させないケース」が指摘されるなど、定額残業制度を適切に運用していないため、残業代未払い問題が発生しているケースが多くあります。

以下、定額残業代について、特に気をつけておきたい点をまとめておきます。

基本給と定額残業手当を明確に区分する

定額残業手当について、就業規則、雇用契約書、賃金台帳に記載するようにしてください。

・賃金台帳、雇用契約書記載例:定額残業手当(○時間分) ○○○円

基本給と定額残業手当が明確に区分できている場合であっても、基本給が最低賃金を下回っているケースがあります。定額残業手当は最低賃金の対象となる賃金には含まれません。注意してください。

実際の残業が定額残業手当の額を超えた場合の取り扱い

実際の残業が定額残業手当の額を超えた場合には、その差額を別途、時間外手当として支払うことが必要です。この点についても、就業規則、雇用契約書、賃金台帳に記載するようにしてください。

・賃金台帳記載例:時間外手当(差額分) ○○○円

お勧めする労働時間管理の方法

タイムカード+自己申告方式

「タイムカードの記録による在社時間」=「労働時間」とは限らないので、タイムカードと併用して、自己申告制度を導入し、タイムカードの記録と自己申告による労働時間の差異を把握・分析して、本来の労働時間を確定させる方法です。

残業承認申告制を導入する

時間外労働を行う労働者に残業承認に基づく申請書を提出してもらうようにします。

残業が終了した時点で予定の残業時間と実際の残業時間とを照合することで、実際の残業時間が予定よりオーバーしている場合、その原因を上司と部下で検証することで、仕事の進め方など見直すきっかけとなり、ダラダラ残業の防止につながるだけでなく、過重労働の防止にもつながります。

このページの先頭へ