高齢者の賃金設計
労働者も企業側も納得する賃金制度とは?
現在、日本の人口構成比の中で最も高い比率を占めるのは、「団塊の世代」です。
今後は継続雇用制度によって、定年退職後も同じ会社で働き続ける人は増えると予想されます。
- 定年以降、パートタイマーとして若手社員に技術を教えることにやりがいを感じる現場の嘱託社員
- 自らが築き上げた人脈や営業ノウハウを活かして、売上増に貢献している営業の嘱託社員
このように「団塊の世代」が社会で活躍する場は、社内にたくさん存在するのが実情です。
嘱託社員として、定年前と何も変わることなくやりがいをもって仕事を続けてもらうには、社員も企業側も納得する賃金制度が必要です。
当事務所では、在職老齢年金制度、雇用継続給付制度、そして給与の3本立てを上手く活用して、社員も企業が納得できるような賃金を提案いたします。
高齢者のタイプ別給与の決定方法とは?
高齢者を雇用していくためには、年齢や勤続年数などによる給与から、仕事の難しさや成果による給与に移行していくことが必要になります。つまり、難しい仕事をする方には高い給与を、そうでない方や短時間勤務の方には低い給与を設定するわけです。
高齢者の分類方法
1 付加価値の高い仕事を担当するかしないかで2つに分類する
2 フルタイム勤務か短時間勤務かで2つに分類する
3 1と2の組み合わせにより、合計4つに分類できる
4つの分類とは?
1 付加価値の高い仕事を担当し、フルタイム勤務務
2 定型的な業務を担当し、フルタイム勤務
3 付加価値の高い仕事を担当し、短時間勤務
4 定型的な業務を担当し、短時間勤務
最適な賃金設計は、労使双方にメリットがあります
厚生年金の在職老齢年金制度、雇用保険の高年齢雇用継続給付は、高齢者の雇用維持 ・ 促進のための公的制度です。
この在職老齢年金制度、雇用継続給付制度、そして給与の3本立てを上手く活用することで、社員本人の手取額を減らすことなく、会社の負担額を大幅に減らすことができます。
最適な賃金設計の活用事例
- もうすぐ定年を迎える社員がいるのだが、今後も働いてもらいたい
- 就業規則の変更や退職の規定作成を考えている
- 役員報酬と年金のバランス、在職老齢年金の仕組みなどを題材にした研修を行いたい
再雇用や嘱託契約でのトラブルを防ぐためにもしっかりとした説明が必要です。
- 60歳以降の役員報酬変更を検討している
60歳以上の経営者の場合、役員報酬が高くて年金を貰いたくても貰えないケースは多いのが実情です。
「みなし退職」「役員退職慰労金」「配偶者や他の役員へ報酬を振り分ける」などで役員報酬を下げれば年金も受け取ることができ、社会保険料の負担も軽減できます。
健康保険・厚生年金保険の同日得喪に注意しよう
年金を受け取る権利のある60歳から64歳までの方が退職後に1日の空白もなく同じ事業所に再雇用された場合は、該当する方の「被保険者資格喪失届」と「被保険者資格取得届」を同時に届出することで、再雇用後の最初の月から社会保険料を変更することができます。
この方法で届出を行う場合は、添付書類として、「就業規則、退職辞令の写し等の退職したことがわかる書類および再雇用されたことがわかる雇用契約書」または「事業主の証明」が必要になります。
事例:健康保険・厚生年金保険の同日得喪を利用できるケース
Q:私は現在62歳で、勤めている会社の定年は65歳です。
今月で正社員としての勤務を変更し、8月1日から嘱託社員として勤務することになりました。
現在の給料は月給38万円ですが、勤務形態の変更に伴い、月給24万円に変更になります。
社会保険料はいつから変更になるのでしょうか?
A 8月の社会保険料から変更になります。
高田社会保険労務士事務所の基本方針
高田社会保険労務士事務所では、在職老齢年金と高年齢雇用継続給付をフル活用した賃金設定を行うだけではなく、賃金設計の内容を従業員の方に説明し、その内容を理解してもらうようにしています。
従業員への説明まで行うのはなぜか?
高齢者の賃金設計を導入する場合に一番大切なことは、手取りの金額がどうなるかということを含め、賃金設計の内容を理解してもらうことが大切だと考えているからです。
今まで給与所得だけであったのが、在職老齢年金と高年齢雇用継続給付が加わることで、それぞれの入金日も異なることもあり、賃金設計の内容を理解していない場合、混乱するケースも多くあります。このようなことを防ぐためには、従業員の方が賃金設計に理解をすることが大切だと思うからです。