イルカスマイル
自宅から車で30分ちょっと走ると、海が見えてきます。先日、八景島シーパラダイスに行ってきました。一般客がイルカに餌をやれるコーナーがあると知り、イルカに会いに行ったのです。
妻の祖母も誘いました。祖母は現在、杖なしでは外出できません。ちょっと遠出になると歩行補助カート(コンパクトな車椅子のようなもの。椅子がついているので疲れたら座って休めるのですが、持ち手部分につかまって、自分で押して歩くための器具。杖よりラクらしい)使用です。
外出を億劫がるようになってしまった祖母ですが、家にこもりがちになると、ますます足腰が弱って、本当に歩けなくなってしまいます。
「イルカを見に行こう!」という誘いに、今回は、祖母も大乗り気でした。
息子(4歳)と祖母(85歳)を連れての外出なので、ゆっくりのんびりペースです。シーパラダイス内には、水族館や遊園地もあるのですが、祖母の身体に負担をかけないため、イルカの餌やり以外はしないと、最初から決めていました。
餌の販売(アジが1杯3匹で300円)時間が決まっているのですが、事前の下調べで、予定販売数になると「売切れ御免」で餌やりができないと聞いていました。餌の販売所付近にパラソル付きのテーブルがあったので、屋外の屋台でヤキソバを買って食べ、様子を伺っていました。すると、販売時間前から、並ぶ人の列ができはじめました。「あっ、やばい」と思ってヤキソバをほおばると、私より早く妻が「私、並んでるから!子供とおばあちゃんをお願い!」と、列にダッシュ。妻のヤキソバは、すっかり空っぽでした。は、早い…。
妻と私が交代しながら、1時間ほど列に並びました。何もせずにじっと立って待っているしかないなんて。いつもなら、超イライラしたはずです。けれど、この時は、おだやかに時間が過ぎていきました。立ちっぱなしなのも苦になりませんでした。周囲の人たちも、みんな和やかな表情をしています。
列のすぐ向こう、海の上には、柵付きフロート(?)が浮かんでいます。その囲いの中で、数頭のイルカがジャンプを繰り返しているのです。イルカが海上に飛び上がるたびに、歓声が沸きました。カメラやデジカメを向ける人、イルカを指差しているカップル、手をたたいて喜ぶ小さな子供……周囲にはたくさんの人がいたのに、1人静かな時間でした。この日の空は、うっすら曇り。観光地であるにもかかわらず、真夏の海水浴場とは違ってどこか閑散としていて、遠くまで続く海を眺めているだけで、日常から離れた気分になれたのでした。
いよいよ、イルカの餌やり時間。みんなで、海の上に浮かぶフロート(?)に渡りました。柵の中を泳ぎまわるイルカたち。スペースの狭さがちょっとかわいそうな気もしましたが「水族館のイルカが野生に帰れるか」という問題もあり、今回は深く考えないことにしました。
小さなバケツに餌をいれてもらい、イルカの前に立つと、イルカが寄ってきました。海面に顔を出し、口をガバッと開けて、餌をもらうのを待っています。その、なんともいえないかわいらしさ。水族館の水槽や、ショーなどで見るのとは、また違うように感じました。
トング(パスタなどをつかむ、でかいピンセット?のようなやつ)でバケツの中のアジをつかみ、投げるようにイルカの口に放り込んでやると、バクッと丸呑みします。いつも食事時に「よく噛んで食べなさい」と言われている息子は、その姿を見て「噛んでなーいっっっ!」と叫んでいました。祖母も「イキのいいアジだこと。刺身にしたらおいしそうなのに。イルカってのは(量を)よく食べるもんなんだねえ」と、半分感心して、半分あきれたように、イルカを見つめていました。
思うことは、みんな同じ。「こんなにかわいいものだなんて!」イルカセラピーというのを聞いたことがありますが、本当に、イルカに癒されたひと時でした。
子供はもちろん手放しで大喜び。このところ思うようにならない自分の身体が不安そうだった祖母も、しっかりした足取りでスタスタとカートを押していました。祖母の介護補助(実家の母を手伝い、病院の付き添いなど、ほぼ1日おきに子供を連れて実家に通っています)と育児で疲れ気味だった妻も、ウキウキ楽しそうでした。私も、仕事を忘れ、久しぶりに心からくつろいだ気持ちになれました。イルカくん(イルカちゃんかも?)ありがとう。
そして、カート使用の祖母を連れて行くため、シーパラダイスに事前に下調べの電話をした時、とても親切に丁寧にアドバイスをくださった、スタッフのSさん、ありがとうございました。この場で重ねて御礼申し上げます。
みなさんも、イルカと触れ合えるスポットに足を運んでみてはいかがでしょうか。(各地の水族館などで、いろんな企画があるようですね。イルカと握手とか、イルカとキスとか…etc)
「餌くれ~」と口を開けるイルカは、本当に笑っているようでしたよ。